心臓・大血管低侵襲治療部 (しんぞう・だいけっかんていしんしゅうちりょうぶ)
ごあいさつ
心臓・大血管低侵襲治療部 主任部長 柚木 継二
〈はじめに〉
当院では平成27年4月ハイブリット手術室が完成し5月より本格稼働となりました。
ハイブリット手術室とは、麻酔装置・人工心肺装置などを備えた清潔な手術室内に、3D-CT様撮影も可能な高性能の固定型X線透視装置を設置し、開胸・開腹手術と血管内治療のいずれにも同時に対応できる高度な未来型手術室システムのことです。
広島市民病院ハイブリッド手術室の特徴は、
1:手術室は新規に作成され100㎡弱ありとても広い。
2:内部を構成する機器類は、フィリップス エレクトロニクスとドイツのMAQUET GmbH & Co. KG製であり、両社の最新装置である。
3:心臓血管外科主体で構想したため使いやすい。
〈時代の流れ〉
近年,外科領域において超低侵襲治療(Minimally Invasive Surgery)というコンセプトは、既にトレンドではなくスタンダードとして受け入れられています。術式・デバイスの開発に伴い、これまでは手術適用なしと判断されていた症例においても手術を実施することが可能となってきています。このことは医療者側においてはさまざまなリスクの軽減、患者側においては術後QOL の大幅な向上が期待されることとなりました。このような低侵襲治療を行うにあたり注目を集めているのが、ハイブリッド手術室(Hybrid OR)なのです。
ステントグラフトは当初カテーテル室で行ってきましたが、現在ではハイブリット手術室でより安全に行うことができるようになりました。現在ステントグラフト症例は累計1100例を超えました。慢性期に再治療される方も少数例(2%以内)ありますが、非常に低侵襲な治療と考え邁進しています。同様に外科的大動脈弁置換術に変わる術式として日本にも導入されたTAVIも、当院は全国77番目の認定施設(広島県内で4番目)としてスタートしましたが、現在着実に症例を積み重ね180例を超えました。
〈おわりに〉
TAVI開始に当たり各部署の枠組みを超えた心臓・大血管低侵襲治療部が発足し、心臓血管外科・循環器内科・麻酔科・放射線科・看護部・CE・リハビリテーション科などが有機的に連携したチーム医療が動き始めました。これにより新規の医療だけでなく既存の医療もレベルの向上につながり始めたと思います。
私事ですがこの病院に勤め丸20年経過しました。今までの時代はハイブリット手術室を含め設備の近代化・IT化に偏って来たあまり、人が置き去りにされてきたような印象が否めません。しかしながら医療は人と人(患者・医療人)の触れ合いのなかでなされることは言うまでもありません。この新しい手術室や医療の将来は設備機器やITにではなく医師や多くのコ・メディカルに託されているものと考えます。今後も職員を含め市民の方々に広島市民病院で良かったと思っていただけるように、微力ながらチーム一丸となり頑張りたいと思います。
またこの職場のおかげですが、 The Best Doctors in Japan(2016-2017) / (2018-2019) に選出されました。