広島市民病院

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TEL:082-221-2291 FAX:082-223-5514
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病院長挨拶

病院外観

病院長挨拶

病院長 松川 啓義の写真

 広島市民病院は、広島に原爆が投下され終戦に至った7年後、復興の道を歩んでいた昭和27(1952)年8月に開設されました。それから70年以上に渡り、広島市民をはじめ広島にお住いの皆様から有形・無形の様々な御支援を賜り、病院に関わってきた全ての人々の献身的な努力の積み重ねにより、現在、広島の医療を支える基幹病院となっています。

 心のこもった安全で質の高い医療を、信頼され満足される医療を、特に救急医療と高度で専門的な医療を提供することを使命としています。

 救急医療では、1次救急(歩いて救急外来を受診されるウォークインの患者さん)から、2次救急(緊急で入院治療が必要な患者さん)、3次救急(救命救急治療が必要な重症救急搬送患者さん)まで対応しています。数多くの1次救急(ウォークイン)患者さんが救急外来を受診され、且つ2次・3次救急における救急車搬送件数も非常に多く、広島の救急医療において中心的な役割を果たしています。

 また当院では様々な分野で、高度で専門的な医療を提供しています。

 がん治療においては、積極的に低侵襲治療・低侵襲手術を導入しています。早期癌(食道癌・胃癌・大腸癌)に対する内科での内視鏡的切除術に加えて、多くの外科領域で胸腔鏡・腹腔鏡などの鏡視下低侵襲手術を積極的に行っており、負担の少ない優しい手術治療を提供しています。更に近年では、手術支援ロボットを用いたロボット支援手術が保険収載されました。これを受けて当院でも消化器癌(食道癌・胃癌・大腸癌・肝癌・膵癌など)、泌尿器癌(前立腺癌・腎癌・膀胱癌)、肺癌、子宮癌などでロボット手術を積極的に行っています。2025年4月現在、当院では手術支援ロボット(ダヴィンチXi)を2台設置し、毎日ほぼフル稼働で年間約500件のロボット支援手術を施行しています。

 地域がん拠点病院(高度型)として手術や内視鏡的治療とともに、抗がん剤などによる薬物治療、高度な治療装置を用いた放射線治療、それに併行した緩和医療など、これらを組み合わせた集学的がん治療・全人的がん治療を推進しています。またがんゲノム医療連携施設として、がんゲノム医療センター(遺伝子診療科)では、患者さんひとりひとりの遺伝子情報に基づき、より適した治療を選択し、がんの個別化治療に繋げています。

 循環器疾患では、心筋梗塞・狭心症や不整脈に対するカテーテル治療、ハイブリッド手術室を整備し大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術や大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)、僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)など、低侵襲手術・治療を積極的に行っています。脳血管疾患でも同様で、脳梗塞に対するカテーテルによる血栓回収術など低侵襲治療に力を入れています。

 周産期医療では、総合周産期母子医療センターとして広島の周産期医療の中核施設として機能しています。新生児科では低出生体重児の高い救命率を達成しており、新生児科・小児科・循環器小児科・神経小児科・小児外科・心臓血管外科・脳神経外科など多科が連携して複雑な先天性疾患にも十分な体制で対応しています。産科センターでは多数のハイリスク妊婦・ハイリスク分娩に対応するとともに、無痛分娩の対応も行なっています。更に、産科センター内に手術室を整備し、分単位での緊急性を要する超緊急帝王切開術に対して万全の体制を整備しています。

 その他の領域においても高度で専門的な医療を広範に行なっています。専門分化された複雑な医療をより安全に行なっていくためには、様々な医療スタッフが連携・協働してチーム医療を展開していくことが重要で、多職種が連携した複数の専門チームが院内で活動しています。

 少子高齢化社会が高度に進む中で、ご高齢の方や様々な持病を持たれた方、多様な社会的背景をお持ちの方に最適な医療を提供し続けるためには、高度急性期病院ですべてを行う病院完結型の医療のみでは真に患者さん一人一人のための医療を提供することは不可能です。お住いの地域の多様に機能分化した医療施設と有機的に連携・協働して一人一人の患者さんを治療し、支えていく地域完結型の医療が今後益々必要とされてきます。かかりつけのクリニック・病院から当院へご紹介いただき、急性期の治療が落ち着いたところで元のかかりつけに戻っていただく、あるいは元の生活には直ぐには戻れない場合は機能回復・生活復帰を目指した機能を担っている病院や医療施設に移っていただくことも必要となります。

 我々の住むこの地域が一体となって、命を救う・病気を治す・心を癒す・生活を支えるために医療・介護・保険・福祉の連携・協働に取り組み、救急医療と高度専門医療を提供する当院の役割・使命を果たして参ります。

 どうぞ広島市立広島市民病院へのご理解・ご協力をお願い致します。

令和7年4月7日
地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院
病院長   松川 啓義