対象医療と治療方法
Ⅰ. 悪性疾患
(1) 腎癌
腎癌の治療は、手術による根治が基本です。
当科ではロボット支援手術を中心に多くの症例で低侵襲治療を行っています。
腫瘍の大きさや位置、患者さんの状態に応じて、腎臓を部分的に残す手術(腎部分切除)と腎臓を摘出する手術(腎摘除)を適切に選択します。安全性と根治性のバランスを重視し、一人ひとりに最適な治療を提供しています。
当科では腎機能温存を重視し、多くの症例で腎部分切除を積極的に行っています。
当科の特徴
・ロボット支援手術を中心とした低侵襲治療
・腎機能温存を重視した治療戦略
・多職種連携による安全な周術期管理
主な手術方法
当科では主に以下の手術を行っています。
ロボット支援腎部分切除術
腫瘍のみを切除し、腎臓を温存する手術です。精密な操作が可能で、出血が少なく、術後の回復が早いのが特徴です。小さな腎癌に対して第一選択となることが多い手術です。
ロボット支援下腎摘除術
腹部に小さな傷で行う低侵襲手術です。従来の開腹手術に比べて術後の痛みが少なく、回復が早いのが特徴です。
開腹腎摘除術
腫瘍が大きい場合や周囲臓器・血管への浸潤がある場合に選択されます。安全に腫瘍を切除するために重要な手術です。
手術以外の治療
手術が難しい場合や、腎機能をできるだけ温存したい場合には、手術以外の治療を選択することがあります。
凍結療法(ラジオ波・凍結治療)
腫瘍に針を刺し、低温で腫瘍を壊死させる治療です。体への負担が少ない治療ですが、当科では行っておらず、必要に応じて対応可能な医療機関をご紹介しています。
薬物療法
転移がある場合や、手術後に再発した場合には、薬物療法を行います。近年は治療の進歩により、複数の薬剤を組み合わせた治療が主流となっています。
免疫チェックポイント阻害薬
免疫の働きを高めてがんを攻撃する治療です。現在では腎癌の薬物療法の中心となっており、単独または他の薬剤と組み合わせて使用されます。
分子標的治療薬
がんの増殖や血管新生に関わる分子を標的とした治療です。主に内服薬で行い、免疫療法と併用されることもあります。
併用療法(免疫療法+分子標的治療)
進行した腎癌に対しては、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的治療薬を組み合わせた治療が広く行われています。患者さんの状態に応じて最適な治療を選択します。
(2) 膀胱癌
膀胱癌の治療は、がんの進行度に応じて大きく異なります。
当科では、内視鏡手術から膀胱全摘除術まで幅広い治療に対応しています。
特に筋層に浸潤した膀胱癌に対しては、ロボット支援膀胱全摘除術を中心とした集学的治療を行っており、安全性と根治性の両立を目指しています。
当科の特徴
・ロボット支援膀胱全摘除術を中心とした高度治療
・体腔内回腸導管造設術(ICUD)まで一貫して実施
・多職種連携による周術期管理で早期回復を実現
・当科では膀胱癌の診療を数多く行っており、豊富な治療経験を有しています。
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)
尿道から内視鏡を挿入し、腫瘍を切除する治療です。主に早期の膀胱癌に対して行われます。
当科では年間約220例の経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を行っており、膀胱癌診療において豊富な経験を有する施設です。
膀胱全摘除術(ロボット支援手術)
膀胱を摘出する手術で、筋層浸潤性膀胱癌に対する標準治療です。
当科では年間約20例の膀胱全摘除術を行い、体腔内回腸導管造設術(ICUD)まで一貫して実施しています。
安全性に配慮しながら、術後の回復と生活の質の両立を目指しています。
全身化学療法・免疫療法
進行した膀胱癌に対しては、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療を行います。
膀胱内注入療法
手術後の再発予防として行う治療です。
尿路変更について
膀胱全摘除術を行った場合には、尿の通り道を新たに作る必要があります。
当科では主に回腸導管造設術を行っており、安全性と術後管理のしやすさを重視した治療を提供しています。多職種と連携し、術後の生活を支える体制を整えています。
(3) 前立腺癌
前立腺癌は、患者さんの年齢やがんの性質に応じて、さまざまな治療法が選択される疾患です。
当科では、ロボット支援手術を中心に、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供しています。
当科の特徴
・ロボット支援前立腺全摘除術を中心とした低侵襲治療
・患者さんの状態に応じた個別化治療
・多職種連携による周術期管理で早期回復を実現
ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)
前立腺を摘出する手術で、限局性前立腺癌に対する標準治療です。
当科ではロボット支援手術を導入しており、出血が少なく、術後の回復が早いのが特徴です。
年間約80例の前立腺全摘除術を実施しています。
術後の尿失禁や性機能にも配慮しています。
放射線治療
放射線を用いてがんを治療する方法です。患者さんの状態に応じて適切な治療法を選択します。
内分泌療法(ホルモン療法)
前立腺癌は進行の程度や患者さんの状態に応じて治療方針が異なります。
当科では十分にご説明した上で、患者さんと相談しながら最適な治療を選択しています
(4) 腎盂・尿管癌
腎盂・尿管癌は、尿の通り道に発生するがんで、膀胱癌と同様の性質を持つ腫瘍です。
当科では手術療法を中心に、患者さんの状態に応じた最適な治療を提供しています。
腎尿管全摘除術
腎臓と尿管を一体として摘出する手術で、標準的な治療です。
腹腔鏡手術に加え、ロボット支援手術(RANU)にも対応しています。
薬物療法
腫瘍の進行度や病理結果に応じて、術前・術後に抗がん剤治療を行うことがあります。
(5) 精巣癌
精巣に発生するがんで、若年男性に多い疾患です。
当科では手術療法を中心に、必要に応じて化学療法を組み合わせた治療を行っています。
精巣癌は治療により高い治癒率が期待できる疾患であり、早期発見・早期治療が重要です。
Ⅱ. 良性疾患
(1) 前立腺肥大症
前立腺肥大症は、前立腺が大きくなることで尿が出にくくなる疾患です。
当科では、症状に応じて薬物療法から手術療法まで幅広く対応しています。
主な治療方法
① 薬物療法
軽症〜中等症では内服治療を行います。症状や前立腺の大きさに応じて薬剤を選択します。
② 手術療法
症状が強い場合や薬の効果が不十分な場合に行います。
当科では体への負担が少ない内視鏡手術を中心に行っています。
ホルミウムYAGレーザーを用いた内視鏡手術にも対応しています。
③ その他の治療
全身状態などにより手術が難しい場合には、他の治療法を検討することがあります。
排尿でお困りの方はお気軽にご相談ください。
(2) 尿路結石
尿路結石は、腎臓や尿管に石ができることで、強い痛みを引き起こす疾患です。
当科では、自然排石を待つ治療から手術療法まで、症状に応じた治療を行っています。
主な治療方法
経過観察・薬物療法
小さな結石の場合には、自然に排出されるのを待つ治療を行います。
内視鏡手術(TUL)
尿道から内視鏡を挿入し、レーザーで結石を砕いて取り除く治療です。
当科では内視鏡手術(TUL)を中心に、体への負担が少ない治療を行っています。
その他の治療
結石の大きさや位置に応じて、他の治療法を選択することがあります。
突然の痛みなどでお困りの際は、お早めにご相談ください。
(3) 過活動膀胱
過活動膀胱は、突然強い尿意を感じる「尿意切迫感」を特徴とする疾患で、頻尿や夜間頻尿を伴うことがあります。
日常生活に支障をきたすこともありますが、治療により症状の改善が期待できます。
主な治療方法
薬物療法
膀胱の過剰な収縮を抑える薬を使用します。現在は副作用の少ない薬剤もあり、多くの方で症状の改善が期待できます。
生活指導
水分摂取や排尿習慣の見直しなどにより、症状の改善を図ります。
受診の目安
・急に強い尿意を感じる
・トイレが近い
・夜間に何度も起きる
これらの症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
(4)尿失禁について
尿失禁は、多くの方が悩まれている症状で、決して珍しいものではありません。
当科では、患者さん一人ひとりの症状に応じて、適切な治療を行っています。
女性医師による専門外来も行っておりますので、安心してご相談いただけます。
主な症状
・咳やくしゃみで尿が漏れる
・急に強い尿意を感じて間に合わない
・トイレが近い
主な治療方法
保存的治療
骨盤底筋訓練(体操)や生活習慣の見直しにより、症状の改善を図ります。
手術療法
保存的治療で改善しない場合には、手術を行うことがあります。
当科では低侵襲な手術(TVT・TOT)にも対応しています。
尿失禁は治療により改善が期待できる症状です。
一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
(5) 骨盤臓器脱について
当院では、経験豊富な女性医師による専門的な診療を行っています。
ロボット支援下仙骨固定術(RASC)を中心に、再発の少ない低侵襲治療を積極的に行っています。
骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse)は、子宮や膀胱、直腸などの臓器が下がり、膣から外に出てしまう疾患です。
日常生活の質に大きく影響することがありますが、適切な治療により改善が期待できます。
主な治療方法
保存的治療
骨盤底筋訓練などにより、症状の改善を図ります。
手術療法
ロボット支援下仙骨固定術(RASC)
骨盤臓器をメッシュで支え、元の位置に戻す手術です。
再発が少なく、術後の回復が早いことが特徴です。
女性医師による診察も行っておりますので、安心してご相談ください。