漏斗胸に対するNuss手術は標準術式として広く普及していますが,胸郭挙上に用いるバーの偏位(flipやmigration)が問題になることがあります。近年,年長児漏斗胸に対し2本のバーを留置する際に連結型スタビライザーを用いることで,安定したバー固定, 胸郭形成が得られます。
症例は13歳,男児。学校検診を契機に漏斗胸を指摘され当科紹介となりました。左に偏位した陥凹を認め(図1), 胸部3DCT検査により手術計画を行い(図2), 第Ⅳ・Ⅵ肋間にバーを2本挿入し, 両側を連結型スタビライザーで固定しました(図3)。バー固定は良好であり, 術後3年を目安にバー抜去の予定です。年長児で陥凹の範囲が広く,複数のバー留置が必要な場合,連結型スタビライザーは非常に有効であると考えています。図4に従来型スタビライザー使用例を示します。尾側バーには右側, 頭側バーには左側にぞれぞれスタビライザーが装着され, それぞれ非吸収糸で胸壁に固定されています。明らかなバー偏位はありませんが安定度は連結型スタビライザーには及びません。
対象医療と治療方法